韓国映画 女は冷たい嘘をつく の感想~母たちのミステリー~
女は冷たい嘘をつく
この映画の主演コン・ヒョジンはこれまでの恋愛ドラマでの可愛らしいイメージを覆し本作ではミステリアスな中国人役に挑戦。もう一人の主役オム・ジウォンは前作「妻は二度殺される」に引き続きスリラーに挑戦。二人の演技派女優の共演により韓国では観客動員数が100万人を突破するというヒットを記録しました。
今回はそんな誘拐ミステリーハラハラ系韓国映画を紹介していきたいとおもいます。
出典元:https://klockworx.com/movie/m-406098/
*作品情報
監督:イ・オニ
製作年度:2016年
ジャンル:ドラマ/ミステリー
*全体評価
ミステリー度★★★★★
ハラハラ度★★★☆☆
悲しい度★★★★☆
考えさせられる度★★★★★
不気味度★★★★☆
個人的すき度★★★☆☆
*予告映像
出典元:https://youtu.be/VYkw92J6U9k
*あらすじ
まだ幼い娘・ダウンの親権をめぐり元旦那と裁判中のシングルマザー・ジソンは、仕事が忙しいため住み込みの中国人ベビーシッター・ハンメに娘の世話をまかせていた。
そんな中、ある日娘とハンメが突然姿を消してしまう。
二人を探しまわるジソンは、警察にも助けを求めるが、自作自演ではないかと疑われ、追われる身になってしまう。
警察に追われながら二人の行方を必死に探すジソンは、ハンメの過去を調べていくうちに、彼女の名前も年齢もすべて嘘で塗り固められていたことしるのだったーー。
*ザックリ感想!
話の表面的な内容はとてもシンプルで分かりやすいストーリーになっていますが、観ているとだんだんこの映画が社会派映画であるように感じる内容です。
格差社会、外国人労働者、男尊女卑、韓国の様々な社会問題のうえでおこる事件について描かれている映画なので、鑑賞後は重たい気持ちになってしまうかもしれませんが、日本にも関わっている社会問題を考えるいい機会になると思います。
ただ社会派映画というと難しい印象を抱いて敬遠される方も多いと思いますが、この映画は誘拐事件というミステリーを主題に進んでいくのでハラハラしながらミステリーを楽しんで観ることができます!
韓国映画ならでは?の残酷なシーンもあまりうつらないので、グロテスクな映画ではないと思いますのでいろんな方が観ることのできる映画ですよ~!
~~以下ネタバレを含みます~~
ミドコロ①娘のために突っ走る母ジソン
韓国の誘拐ミステリーってお母さんがいつもヒステリー気味で、子供を探す夫を邪魔しやすいイメージだったのですが、今回は母が子供のために最後まで物事をうまく運んでいきます。
ときどき感情的になりますが、娘を思う母親役のオム・ジウォンさんの演技がとてもリアルで、観ていてすごく感情移入してしまう映画でした!
娘を一人で探しまわりながら警察からも逃げ回るジソンは母の強さを証明していました。
元旦那はこの映画ではなんの役にも立たず、むしろこの事件の発端の片棒をかついじゃってます。
元旦那も義母も警察までも全員敵に回して一人でジソンが頑張る映画でした。
また、娘を誘拐した憎き誘拐犯ベビーシッター・ハンメを海に飛び込んでまで助けようとした最後のシーンはとても印象的です。
普通そんなことするか?と言いたくなってしまいそうなシーンですが、
ハンメの悲惨な過去を知ったジソンにはおなじ母としてハンメの気持ちが理解できたのかもしれませんね。
ミドコロ②不気味すぎるベビーシッターハンメ
この映画のストーリーが進んでいくごとにハンメの素性が明かされるのですが、
彼女の素性が分かれば分かるほど謎が深まりハンメの不気味さを感じます。
とくに不気味に感じたのはやっぱりジソンの娘・ダウンに目を付けダウンの乗っているベビーカーを坂から転がし落としたところですね。
ホラー味を感じました。もちろんそんな不気味すぎるハンメの謎は最後のほうにとけます。
彼女の過去や彼女自身の子供に対する愛情あふれるシーンを観てからは、彼女も誘拐犯ながら普通の人間に見えます。
当たり前ですが親の子供への愛情は万国共通なのだなーと思いました。
また、ハンメ役の女優/コン・ヒョジンさんは韓国の方ですが、彼女の中国人役としての片言の韓国語の演技がとてもうまかったです。
ミドコロ③実は同士だったジソンとハンメ
旦那、義母、社会と戦っているという点ではジソンもハンメも同じ仲間でした。
ハンメを苦しめる外国人差別、ジソンを苦しめた男尊女卑の社会、どちらもそんな社会で娘を守り抜こうとした母親だったのです。
だからこそジソンは溺れるハンメを助けようとしたのでしょう。
この事件は、ハンメの病を抱えた娘の病室のベッドを、急に熱を出したジソンの娘が奪う形で入院したことで、娘を亡くしてしまったハンメのジソンへの恨みが発端でおこるのですが、
このように出会わなければふたりはいい友達になれたのかもしれません。
最後のハンメが娘への思いを抱きながら溺れていくシーンはとても悲しく涙がでます。
ある意味感動する要素もあった映画でした。
女は冷たい嘘をつく 感想まとめ
誘拐ミステリーという題材なのに社会問題も絡んでくるとても考えさせられる映画でした。
二人の母親の娘への愛情が引き起こすこの映画の誘拐事件は、女性監督ならではの目線で描かれていて、女性を取り巻く社会問題も浮き彫りにしていきます。
重たい内容となっていますが、やっぱり韓国映画のこの独特の雰囲気は魅力的でしたし、重たいながら分かりやすいストーリーで観やすい映画でした!